JR豊川駅西口にある、モーニングカフェ&ワインバー「Rigolo りごろ」。フランス人ソムリエが選ぶ本格的なワインが、カジュアルな雰囲気の中で楽しめる店として知られている。
りごろは、ワインの一大産地、フランス・ロワール地方出身のワインソムリエ、ブレジョン・エリック・ジャン・アルフォンスさんと、豊川市内に実家がある妻の浩子さんが経営。有名レストランなどでのソムリエ経験を生かして地方にもワイン文化を広げたいと、8年前、夫婦で店をオープンさせた。午前は浩子さんがコーヒーなどのモーニングサービスを、夕方からはエリックさんがワインを提供している。
エリックさんは高校卒業後、リゾートホテルを世界展開している、パリのバカンス会社「地中海クラブ(クラブメッド)」に就職。ドイツ、スペイン、モロッコなど、海外を飛び回り、転勤先のひとつだった北海道で浩子さんと出会った。一方、浩子さんは一宮町で生まれ育ち、航空専門学校を卒業後、航空会社などを経て地中海クラブに入社。海外で勤務したのち、1995年に北海道へ。レストランマネージャーをしていたエリックさんとレセプション担当の浩子さんは交際を経て結婚を決意した。
ところが、浩子さんの両親は国際結婚に猛反対。「なんとか結婚は認めてもらったので、せめて日本国内にいることにしました」と浩子さん。2人は海外転勤がある地中海クラブを辞め、1997年に結婚。エリックさんは世界で最も多くのミシュランの星を持つ有名シェフ、ジョエル・ロブションの恵比寿、六本木、名古屋各店でマネージャーなどを務め、地元では、浜名湖オーベルジュ キャトルセゾン、ホテルアークリッシュ豊橋など一流の場所で、ワインサービスに携わり、ソムリエとしての腕を磨いた。
2008年には豊川市に移住。2015年、好立地の豊川駅前に店を借りた。店内にはフランス産を中心に、イタリアやニュージーランドなど、さまざまな国のワインが取り揃えられ、エリックさんが専門知識を生かしてお客さん一人ひとりに合うワインを提供。赤ワインに果物やスパイスを入れた夏の「サングリア」、ワインにスパイスなどを入れて温めた冬の「ホットワイン」はその季節の定番になっている。
エリックさんの目利きや、穏やかな人柄にファンも増えた頃、新型コロナウイルス感染症が発生。他の飲食店と同様、りごろも大きな打撃を受けた。物価高騰も相まって、新型コロナウイルス感染症が落ち着きつつある今も、まだまだお客さんは戻っていないという。浩子さんは、「若いお客さんにも来てもらえるよう、SNSなどをしっかり活用していきたいです」と話し、エリックさんは「新型コロナウイルス感染症前に来てくれていたお客さんが、今どうしているのか心配」と案じる。
そんなエリックさんの趣味は、自宅でラグビー放送を観ること。自身も10代の頃、フランス代表に選ばれるくらい実力がある選手だった。ケガをきっかけに断念したが、今もラグビーは大好き。浩子さんは「地元で大人のラグビーがあれば、ぜひ参加してほしい。」と期待する。エリックさんは豊川について、「自然が豊かで住みやすい。ずっとここで暮らしていきたいですね。人としゃべるのが好きだから、ソムリエという仕事は楽しいです」と話す。1月に結婚した娘の樹里さんも、息子のケビンさんも東三河で暮らしており、イベントの時などは手伝いもしてくれている。ちなみに店名の「りごろ」はフランス語で「笑顔」という意味だそう。多くの人がにこやかにモーニングを楽しみ、ワインバーでグラスを傾ける、笑顔の繋がりを大切に今日も店に立っている。