高品質かつ高評価で厳選された、スペシャルティコーヒーの豆のみを取り扱う、「スペシャルティコーヒー蒼」。店の隣にある焙煎機で自家焙煎したオリジナル商品をはじめ、移動販売や店舗販売、オンラインショップなどを通して、豊川を中心にさまざまな人に向けてコーヒーを取り入れた豊かな生活を提案している。
店主・倉橋さんは神奈川(横浜)で8年建築関係の仕事をしていたが、サラリーマン生活から一念発起し豊川へ戻り、昭和50年代より祖母が営んでいた駄菓子屋「お菓子のホップ堂」を改装しこの店を開業した。
学生時代は、新豊橋駅近くにあった「BEGIN(ビギン)」や、トキワ通りの老舗「鈴木珈琲店」で、掛け持ちアルバイトをしていたほど大のコーヒー好き。倉橋さんは当時をこう振り返る。「バイトするならとにかく珈琲屋さんで働きたくて、ハローページ見て募集の有無は抜きにして、良さそうだなと思うところを片っ端から電話かけてました(笑)。その頃からいつか珈琲屋さんをやりたいと思っていましたね。あの頃はまだ単なる憧れの憧れではありましたけど」 。
倉橋さんは、ここ最近感じた豊川で働く意義についてこう語る。 「今、自分の中で最も地元愛に溢れている企画が、本宮山山頂の砥鹿神社奥宮で行われる月に一度の『ついたちcafe』というイベントなんですよ。砥鹿神社は「三河一宮」とされ、またその本宮のある本宮山は「三河富士」なんて地元の人には言われているくらい、地元の方にとって大切な場所とされています。この大切な場所で、登山の方や朔日参りをされる方に丁寧にハンドドリップしてコーヒーを提供するつかの間の時間。この時間を通じて地元の方の大切な場所で大切な時間を共有していると、生きている意味を実感できるというか、僕がここ豊川で仕事している意味合いを実感できる気がするんです。自分もお宮さん参りするつもりでこのイベントは必ず自ら参加するようにしています」。
現在実店舗の運営のほか、豊川稲荷で行う年2回のこだわりマルシェ「縁」、有機野菜を扱う「つちのいち」、ぱんとおやつの朝市「ねこ」などイベント開催も多数行っている倉橋さん。 さらには、当時の自分と同じように飲食店開業の夢を持つ若手支援も行っているという。静かに熱いハートを持った彼のもとへ、また同じ志を持った若者たちが集まり、その輪が広がっていく。