「つどいの広場MAH(以下MAH)」を運営する「NPO法人 とよかわ子育てネット」の設立は1996年のこと。初代代表を務めた杉山晴子さんが県外から豊川に移住してきた際、知り合いもいない中、知らない土地で孤独な子育てを経験したことがMAHの活動の発端となっているのだそう。その後、MAH以外にもスタッフそれぞれが自発的に支援活動を派生させながら、家事サポートや学生ボランティアの受け入れなども行うようになり、活動は大きく発展していった。
そんなMAHにボランティアスタッフとして関わりを持つようになり、現在はMAHを含め、子育てネット全体の活動を管理する3代目の代表理事として活躍中の豊田恵子さん。もともと静岡に住んでいた豊田さんは結婚を機に豊川へ移住した。元保育士であり、子育て経験のある一人の母親として、自身の子育てが落ち着いたタイミングで子育て支援活動に興味を持ち、MAHのスタッフとして参加。
MAHの利用対象者は妊婦と0~2歳児の親子が中心。利用者は主に30~40代の先輩ママであるボランティアスタッフたちと雑談などを気軽に交わしながら、日常のストレス解消や子育ての悩み相談ができる。
実は豊田さん自身は義母と同居だったこともあり、子育ての苦労はなかったそう。では、なぜここまで熱心に支援に取り組むのか?その思いを尋ねてみた。「実際にMAHでスタッフになって、世の中のママの大変さをたくさん目の当たりにしました。そこから子育てって本来は、悩みや障壁がなければとても楽しいものなのに、みんなこれほど辛い思いをしているのは勿体無い!という問題意識を強く感じるようになりました」。
さらに豊田さんは、子育て支援への思いについてこう話す。「個人的には、入園までの数年しかどっぷり一緒にいられないのだから、その時間は子育てを楽しんだほうが得。その間に楽しいことを子供とともにいっぱい経験して欲しいなと思っています」。
子育てネットは立ち上げから26年が経つが、今後も「子どもと子育てにやさしいまちづくり」を合言葉に、一人でも寂しいママがいなくなるように他施設や企業と協力しながら支援の輪を広げていく予定だ。最後に豊田さんは、「もちろん合う合わないはあるかもしれないけれど、子育てネットを知らずに一人で悩むのではなく、まずはとりあえずこのような場所があるということをママたちに知ってほしいですね」と語ってくれた。