自転車競技BMX(=Bicycle Motocross、バイシクルモトクロス)で、大きな活躍をみせている、豊川市在住のジュニアライダー高崎成琉(なる)さん。2023年8月には、スコットランドのグラスゴーで開催される国際大会への出場が決まっており、世界大会初優勝を目指して練習に励んでいる。
高崎さんは2023年現在、市内の中学校に通う1年生。1歳9カ月の時に両親からペダルのない二輪遊具「ランニングバイク」を贈られたのをきっかけに自転車が好きになり、2歳の終わり頃には補助輪なしでBMXに乗り始めた。3歳の時に出かけた三重県桑名市のオフロード自転車パーク「GONZOPARK」(ゴンゾーパーク)で、初めて、起伏がある1周400mのコースで順位を競うBMXレースを観戦。「面白そう!やりたい!!」。
すっかりBMXに夢中になり、自転車競技に全く縁がなかった両親も、その気持ちに寄り添ってバックアップしてくれた。県内には練習場がほとんどないため、ほぼ毎週末、お父さんの運転でGONZOPARKなどに行き、練習を重ねた。初レースは3歳11か月。結果は最下位だった。「悔しかった。もっと速くなりたいと思って、がんばりました」。5歳の時に「JAPANシリーズ」で公式戦デビューした。当初はレベルの高さに苦戦したが、負けず嫌いな性格に火が付き、1年間で急成長。6歳でクラス年間ポイントランキング日本一を獲得した。翌年の2018年には、アゼルバイジャンで開かれた世界選手権のボーイズ 7歳クラス に出場し、初の世界大会で7位に入賞した。6歳からこれまで、連続してジャパンシリーズの年齢別年間ポイントランキングで1位を獲得し続けている。2022年には2度目の世界選手権「フランス・ナント大会」のボーイズ11歳クラスに挑戦。見事2位に輝き、2023年度の世界大会出場権を得た。
生活はBMX一色。学校から帰って宿題などを済ませたあと、室内に置いたサイクルトレーナー(ローラー)で持久力や脚力、体幹を鍛えるトレーニングをするのが日課だ。自宅のまわりでバイクコントロールやジャンプの練習も行い、週末は練習の為に埼玉や大阪へ遠征する。定期的にパーソナルトレーニングも受けている。友だちと遊ぶ時間はほとんどない。でもまったく苦にはならないと言う。さらに世界で戦うため、また海外の人たちに向けたSNS発信などを見込んで、英語力を高める努力も忘れない。「インスタはこれまで親がやってくれていましたが、今年の1月からは少しずつ僕が自分で練習やレースについて発信しています」。そんな中、2023年5月には市が主催した「トップアスリートふれあい交流事業」に登場し、テクニックを披露。同年代の子どもたちの注目を集めた。
高崎さんの目標は、この夏の世界大会で頂点に立つこと。「前回のフランス大会では、スタートで上手く前に出られず2位だったので、今度は絶対優勝したい」。そして、その先にはもっと大きな目標がある。2032年にオーストラリアで開催予定のブリスベンオリンピックに出場すること。「その時、ぼくは21歳。絶対優勝したいです」。
仕事で疲れていても、週末の休みを返上して遠征に連れて行ってくれるお父さん。生活の中でさまざまなサポートしてくれるお母さん。そしてスポンサーをしてくれいている店舗や企業の方々への感謝を胸に、高崎さんは上を目指し続ける。