豊川市役所に隣接する「豊川公園」内に、2022年3月25日、好奇心旺盛な子どもたちの興味を集める「こども広場」がオープンした。まちなかにある従来の公園よりも、利用者の間口をさらに広げた“インクルーシブな広場”をコンセプトに、カラフルでユニークな形の遊具が勢ぞろいする。インクルーシブとは“包摂的な〜”という意味で、誰しもが利用できる公園を目指す、日本でも少しずつ増えてきている新しい公園のスタイルだ。
豊川市役所公園緑地課の整備係で働く成瀬庸孝さんは、「豊川公園」のリニューアルに関わる一人。構想段階から設計技術者や市役所の各部署などと連携し、地域の障がい者団体や福祉関係者にもヒアリングを重ねて、「こども広場」の実現に繋げた。障がいのあるなしに関わらず生き生きと自由に楽しめる、安全面を意識したユニバーサルデザインを採用。さまざまな声や思いを反映し、遊具だけではなく、ケガを防止するゴムチップ舗装の園路や見守りベンチ、空間にゆとりのある駐車場の併設など、細かい部分にも工夫を散りばめている。
「遊びに行きたくても行けない子は多くて、ヒアリングでは『豊川市がこういうコンセプトで考えてくれていること自体に感謝する』と言われ、励みになりました。小さい頃から遊びを通じていろいろな個性に接することで、人と人の間に垣根を作らない大人に育ってくれて、“ひとのわ”の広がりに繋がっていったらうれしいです」。
市内に200近くある公園の中でも、「豊川公園」は陸上競技場や野球場、テニスコートを備えた総合運動施設で、県内外からたくさんの利用者が集まる。昭和30年代に整備され、時代の流れで公園の使い方が変わったり、施設が老朽化したりに伴い、市民の要望に応える形で大規模なリニューアルを行うことになった。令和元年度から工事が始まり、部分的にオープンしながら令和7年あたりまで続く予定だ。「こども広場」に加えて、砂入り人工芝12面のテニスコートや大きな芝生広場など、イベント会場に活用する計画も。
「現状は市民の皆さんにとって、ここが『豊川公園』であるという認識が薄いかもしれません。賑わいを創出することで、みんなが集まって使いやすい馴染みある『豊川公園』を目指します。現場で作業をしていると、『ここどうなるの?』『いつオープン?』と通りすがりの方と会話が弾み、市民の皆さんの期待を感じて、やり甲斐のある仕事ですね」と成瀬さん。
豊川市の公園といえばもう一つ有名な「赤塚山公園」も、2023年に迎える開園30周年及び市制施行80周年に向け、本格的なリニューアル事業が進行中だ。「水の広場に噴水を作ったり、畜舎を改築したり、芝生広場に大きな遊具を設置したり…。『豊川公園』も『赤塚山公園』も、何年もかけて自分が携わらせてもらう事業で、私も全面オープンが今から楽しみです」。