編集・ライターの中西沙織さんと、カメラマンのこんどうみかさんは、二人が暮らす東三河地域を拠点に「ほとりworks」の名で活動中の女性二人組ユニットだ。
中西さんは大学卒業後、名古屋の地域情報誌の編集部に5年ほど勤め、現在キャリア20年目という豊富な経験の持ち主。一方、こんどうさんはもともとは看護師をしながら、趣味としてカメラを始めたという特殊な経歴を持つ。農業や食にも興味の強かった中西さんが記者として動いていた食育系のフリーペーパー『ママごはん』の撮影カメラマンを探していた時、二人はスマホ越しに出会った。「私が撮影した写真をたまたま中西さんがSNS上で見つけてくれたのがきっかけです」。もともと好きなことを仕事にしたいという思いを持ちながら日々葛藤していたこんどうさんの背中を押したのが中西さんというわけだ。
2019年、中西さんの地元豊川の自宅敷地内にオフィスを立ち上げ、「ほとりworks」の活動が本格的にスタートを切る。
彼女らのモットーは「物語」をしっかりと取材・撮影し、伝えること。商品やサービスが生まれるその成り立ちの部分を深堀りしていけば、そこには必ず物語がある。最近だと、InstagramなどSNSが強くなってきた影響もあり、写真映えで判断されてしまうことが多いのが事実だが、「その人やそのものの背景に眠っていることを知ることで、何倍にもそのものの魅力は膨らむ」と中西さんは語る。その思いは「ほとりworks」での丁寧なクライアントワークにも反映されており、自身らの活動内容を伝えるための自社メディア「ほとりプレス」(第2号でコロナ禍により取材継続ができなくなってしまったため中断)からも滲み出ているようだ。
結婚や出産、旦那さんの転職をきっかけに地元・豊川へUターンした中西さん。もともと田舎暮らしにコンプレックスを抱き、都会への生活に憧れていた時期もあったそうだが、地元に戻り、自然豊かなこの地域の素晴らしさや地域とのつながりに改めて感銘を受ける日々だという。「食材や資材といった原材料も地産地消でまかなわれていることや、この地域にはまだまだ埋もれてしまっている魅力的な人材もたくさんいらっしゃいます」(中西)。
現在は改めて地元で活動している人々に興味を持ち、自分らしさを活かした「働き方」を実践している人物を追った新シリーズ「この町と、はたらく」を2021年よりスタート。二人はクライアントワークだけに留まらないスタンスで楽しい取材の日々を邁進中。今後は、まちづくりや地域資源を生かしたものづくりにもフォーカスを当てていきたいのだそう。そんな彼女ら自身、「生きること」と「働くこと」をニアイコールで結び、自分たちなりの「この町でのはたらき方」を体現していると言えるだろう。